この記事の概要
・HubSpotのワークフロー機能の「概要」がわかる
・HubSpotのワークフロー機能が使える「料金プラン」がわかる
・HubSpotのワークフロー機能で「できること」がわかる
・HubSpotでワークフローを設定する手順がわかる
・HubSpotでワークフローを活用する事例がわかる
HubSpotのワークフローについて説明する前に、まずは一般的なワークフローについて簡単に説明しておきましょう。
ワークフローとは、業務やプロセスを段階的に自動化して効率化する仕組みをいいます。具体的には、業務における一連のタスクやアクションをあらかじめ定義し、それらを特定の条件に基づいて自動的に実行することで、手作業の負担を軽減し、業務のミスや漏れを防ぐものです。
特にマーケティングや営業、カスタマーサポートの分野では、ワークフローを活用することで以下のような効果が期待できます。
● タスクの自動化
手作業で行う必要のある繰り返し業務(メール送信やデータ入力、リマインダー設定など)を自動的に実行することができます。
● プロセスの効率化
各部門やチーム間での作業フローがシステム化(明確化)されるため、業務プロセスを統一することができます。各部門やチーム間での業務のやり方に偏りが出なくなるので、業務がスムーズに進行します。
● 条件ベースのアクション
あらかじめ決めた特定の条件やトリガーイベント(フォームへの入力や購入履歴の更新、特定のページへのアクセスなど)を基に、事前に定義したアクションが自動的に実行されます。この機能により業務の漏れや遅れを防ぐことができます。
HubSpotのワークフロー機能も、さまざまな業務やプロセスを自動化し、効率化することができます。マーケティングやセールス、カスタマーサポートにおけるタスクを自動化し、繰り返しの作業を省いてリソースを他の重要な業務に割り当てることができます。
HubSpotの各Hubには、無料で使えるさまざまな機能やサービスが多く用意されています。またクレジットカードの決済情報の登録なしで利用できるサービスもあります。ただしワークフロー機能については、基本的に有料プランから利用できるようになっています。各プラン(Starter、Professional、Enterprise)には14日間の無料トライアルが用意されている場合もあるので、とりあえず試しに利用してみるのもおすすめです。
HubSpotのワークフロー機能は、Marketing Hub、Sales Hub、Service Hub、Operations Hubに用意されていますが、いずれもProfessional以上でないと利用できません。また、プランが上位になるほど、利用できるワークフロー数や自動化機能が強化されます。たとえばMarketing Hub Professionalでは、リードナーチャリング用のメール自動化が可能ですが、Enterpriseではより高度な条件分岐やカスタムプロパティが活用できるといった違いがあります。
ではここからは、HubSpotのワークフロー機能で具体的に何ができるのかを見ていきましょう。
● メールの自動化によるリードナーチャリング
HubSpotのワークフローでは、メールの送信を自動化することができます。あらかじめメールの本文を作成しておき、トリガーイベントや条件、アクションを設定することで、最適なタイミングで顧客にメールを送ることができます。またうまく条件設定を行っておけば、ターゲットを絞り込んだワークフローを作ることもできます。顧客体験のステップごとにメールを自動送信すれば、既存顧客の購買意欲を高め、潜在顧客をリード顧客へと成長させるリードナーチャリングが可能になるのです。
● CRMデータの自動更新
ワークフローであらかじめトリガーイベントや条件を設定しておくことで、顧客の行動に応じて属性情報やカスタムプロパティを自動で更新することができます。たとえば顧客の購入履歴が更新されれば、CRMのデータが自動更新され、営業担当への通知や次のアクションの提示が自動的に行われるようになります。このようなタスクの自動割り当てやメールでの通知は、対応漏れや遅れを防ぎ顧客満足度の向上に効果を発揮します。
● 顧客のセグメンテーション
更新された顧客データを分析し、条件に基づいて顧客セグメントを分類し直します。顧客セグメントには「地理的変数(居住地域や都市規模など)」や「心理的変数(価値観やライフスタイル、趣味など)」、「行動変数」などがありますが、たとえば行動変数の商品の購入頻度や購入量、利用シーンなどが変われば、顧客のセグメントが変わります。HubSpotのワークフローは、変数が変化した場合のアクション(セグメントの変更)を決めておけば、顧客の変化に応じて即座に変更を反映してくれます。
HubSpotのワークフローは、他にも以下のような活用方法が考えられます。
・Webhookや個人アクセストークンを使用した外部ツールとの連携設定
・リードの自動スコアリング
・確度が変化したリード顧客の自動引継ぎ
それでは、実際にワークフロー機能の設定をする手順を見ていきましょう。
1. まずHubSpotのダッシュボードにアクセスし、左側のナビゲーションバーから「自動化」>「ワークフロー」を選択します。
2. 次の画面の右上に表示されている「ワークフローを作成」をクリックすると、「ゼロから作成」と「テンプレート」のメニューが表示されるので、どちらかを選択します。「ゼロから作成する」を選択すると、オリジナルのワークフローを作成することができ、「テンプレートから」を選択するとHubSpotに用意されているテンプレートを利用できます。
3. 次はトリガーの設定です。トリガー(トリガーイベント)とは、どのような条件のときにワークフローが動作するか、という条件を設定するものです。ワークフローの設定画面で「トリガーを設定」をクリックし、左側のパネルからトリガー(イベントの発生時、フィルター条件への適合時、スケジュールに従う)を選択します。いずれかのトリガーを選択したら、それぞれが動作する条件を設定します。
4. 次に、トリガーが発生した場合のアクションを設定します。まずはワークフロー作成画面にある「プラスアイコン」をクリックして、ワークフローアクションを追加します。画面の左側にいくつかの「ジョブ(コミュニケーション、CRM、マーケティング、データ処理)」が表示されるので希望するアクションの種類を選択します。すべてを設定したら、左上の「保存」をクリックします。
5. また必要に応じて、条件分岐の設定もしておきましょう。条件分岐とは、ある条件の発生において、別のワークフローに飛ぶ設定のことです。
6. 最後にワークフローの公開(有効化)を行います。上記の設定が完了したら、画面右上にある「確認および公開」をクリック、画面上に表示される「ワークフローを確認」タブで「次へ」をクリックします。すべての設定を確認したら右下の「ワークフローをオンにする」をクリックし設定は完了です。正常にワークフローが動く状態であれば、画面右上に「ワークフローは有効です」と表示されているはずです。この状態でテストを行い、動作に問題がないか、また意図通りに動いているかを確認しておきましょう。
HubSpotのワークフローは、マーケティング業務の自動化に幅広く活用できます。最適なワークフローの活用方法としては、リードナーチャリングへの適用が挙げられます。たとえば、ウェブサイト訪問者やホワイトペーパー、もしくはカタログなどの資料をダウンロードした人に対して段階的にメールを送信し、製品への興味や関心を高めることができるでしょう。リードの行動や属性に基づいてセグメント分けやスコアリングを行い、顧客に最適化されたコンテンツを配信することで効果的なリードナーチャリングを実現できます。
適切な条件とアクションを設定しておくことで、リードのステータスが更新された際に営業担当に即座に通知することができます。営業担当に次のアクションをリマインドする通知を送信し、フォローアップの機会を逃さないようにできるのです。また顧客ステータスの変化に応じた新しいタスクの作成や関連部署(カスタマーサポートやマーケティング部門)への通知など、円滑な商談管理も実現可能です。
カスタマーサポートでは、サポートリクエストが送信された際に適切な担当者に自動でタスクを割り当てることや、問い合わせ内容に応じたエスカレーションの設定をすることが可能になります。これらが迅速に行われることでサポートの対応スピードが上がり、顧客満足度の向上にも寄与することでしょう。また商品やサービスを購入した顧客に対して自動的にアンケートを送信し、満足度やフィードバックを収集することでサービスの品質向上も実現できます。
HubSpotのワークフロー機能は、業務プロセスを自動化し、効率化を実現する強力なツールです。特にリードナーチャリングや営業活動、カスタマーサポートなど、多岐にわたる活用が可能で顧客満足度の向上や生産性向上に大きく寄与することでしょう。HubSpotのワークフローを導入し、競争力のあるビジネス基盤を構築してはいかがでしょうか。
なお、株式会社ハレフルではHubSpotやSalesforceの導入・運用支援を行っております。「自社にあったCRMの選定から相談したい」「HubSpotの運用を依頼できる企業を探している」という場合には、お問い合わせからご連絡ください。