営業やマーケティングのデータを効果的に活用したいものの、どのように分析すればよいか悩んでいる方も多いでしょう。Salesforceのダッシュボードを使えば、複数のデータを一元管理し、視覚的に把握できます。この記事では、ダッシュボードの機能や作り方について、具体例を交えて解説します。業務効率を上げたい方は、ぜひ参考にしてください。
Salesforceのダッシュボードは、売上や顧客データなどの情報を一画面に集約して表示する機能です。複数のレポートから必要なデータを取り込み、グラフやテーブルなどで分かりやすく表示できます。経営判断や業務改善に役立つ情報を、素早く把握できる点が特徴です。
ダッシュボードとレポートの違いを理解することは、効果的なデータ分析の第一歩です。以下の表で、主な違いを説明します。
レポートは個別のデータを詳しく分析する際に使用します。一方、ダッシュボードは複数のレポートを組み合わせて、全体像を把握する際に活用します。
Salesforceのダッシュボードには、データを分かりやすく表示するためのさまざまなコンポーネントがあります。グラフや表、数値など、目的に応じて最適な表示方法を選べます。以下で、各コンポーネントの特徴と活用方法を説明します。
ダッシュボードでは、データの特性に合わせてさまざまな形式のグラフを使用できます。主なグラフの種類と用途は以下の通りです。
・棒グラフ:
棒グラフは、数値の大小を比較する際に使用します。営業担当者別の売上や、地域ごとの商談数の比較に適しています。
・折れ線グラフ:
折れ線グラフは、時間経過による変化を表現します。月次の売上推移や、顧客数の増減傾向を把握できます。
・ドーナツグラフ:
ドーナツグラフは中央に合計値を表示でき、部門別の予算達成率などの表示に便利です。
・じょうごグラフ:
段階的な変化を表現します。商談の進捗状況や、見込み客の状態遷移を分析する際に活用できます。
ゲージは、目標に対する達成状況を速度計のような形で表示するコンポーネントです。色分けされた目盛りで、現在の進捗度合いを直感的に理解できます。四半期の売上目標達成率や、月間の新規顧客獲得数など、数値目標の管理に適しています。
テーブルは、詳細なデータを一覧形式で表示します。行と列を使って、複数の項目を整理して表示できます。たとえば、優先度の高い商談一覧や、対応が必要な問い合わせ案件のリストなどを表示できます。数値の昇順・降順での並び替えにも対応しています。
総計値は、重要な数値を大きく表示するコンポーネントです。月間の売上合計や、未対応の問い合わせ件数など、注目すべき指標を強調して表示できます。目標値との差異を色分けして表示することで、状況を素早く判断できます。
Visualforceページは、標準機能では実現できない表示方法を可能にする拡張機能です。外部システムのデータを取り込んで表示できるほか、独自のグラフを作成することも可能です。例えば、地図上にデータを表示したり、対話式の入力フォームを組み込んだりする際に利用します。
カスタムSコントロールは、ブラウザー上で特定の種類のコンテンツを表示するためのコンポーネントです。具体的には、ExcelファイルやカスタムHTMLフォーム、Javaアプレットなど、さまざまな形式のコンテンツを保存・アップロードできます。
ただし、現在はより柔軟なVisualforceページの使用が推奨されています。新しいカスタムSコントロールを作成することはできず、既存のものを編集する形でのみ利用可能となっているため注意しましょう。
ダッシュボードの作成は、レポートの準備から始まります。基本的な手順に従えば、誰でも簡単に作成できます。ここでは、具体的な作成手順を4つのステップに分けて解説します。
まず、分析したいデータに対応するレポートを作成します。例えば、商談データを分析する場合は以下の手順で進めます。
1.「レポート」タブの右上にある「新規レポート」をクリック
2.レポートタイプから「商談」を選択
3.レポートタイプを選び、「レポートを開始」をクリック
4.期間や金額などの条件で表示レコードを抽出
5.表示項目(商品名、金額など)の設定
6.データの並び順やグループ化を設定
7.グラフを追加して視覚化
レポートの準備が整ったら、ダッシュボードを作成していきましょう。画面上部の「ダッシュボード」タブから「新規ダッシュボード」をクリックします。
「新規ダッシュボード」をクリックすると、ダッシュボードの名前や説明、保存先フォルダーを入力する画面が表示されるので、それぞれ必要な情報を入力・選択してください。
ダッシュボードの名前は「営業部門四半期別売上実績」や「新規リード獲得状況」といったように、できるだけ分かりやすいものがおすすめです。。また、フォルダーは「非公開ダッシュボード」がデフォルトとなっていますが、「フォルダーを選択」をクリックすることで別の保存先を設定できます。
新規ダッシュボードを作成できたら、次はコンポーネントを追加していきます。画面右上の「+ウィジェット」から、追加したい要素を選びます。
今回は「グラフまたはテーブル」を選択します。レポートの一覧が表示されるので、ダッシュボードの利用目的に合ったレポートを1つ指定し、「選択」に進みます。
レポート選択が完了したら、次にコンポーネントの詳細設定を行う画面が出てきます。例えば、グラフの種類やX軸・Y軸の項目、テーマ、コンポーネントの表示するカスタムリンク、サブタイトルなどの細かい調整が可能です。
プレビューを確認し、問題なければ右下の「追加」をクリックしてください。
これで下の画像のようにコンポーネントが追加されます。
なお、配置したコンポーネントのサイズや位置は、マウス操作1つで自由に調整できます。グラフの種類や色使い、表示項目なども、右側のプロパティパネルで細かく設定できるので試してみましょう。
ここまでダッシュボードの作り方を説明してきましたが、Salesforceのダッシュボードは、必ずしも全てをゼロから作成する必要はありません。というのも、Salesforceには「AppExchange」というアプリケーションストアがあり、ここではSalesforceの機能を拡張するためのさまざまなアプリケーションやコンポーネントが提供されています。
なかには、特定の業界や業務に特化したダッシュボードテンプレートも用意されているので、これらのテンプレートをベースに、自社のニーズに合わせてカスタマイズすることで、効率的にダッシュボードを作成できます。
最後のステップは、ダッシュボードの保存と共有です。
作成したダッシュボードは自動保存されないため、必ず画面右上の「保存」ボタンを押しましょう。そして「完了」をクリックすることで、コンポーネントがダッシュボードに反映されます。
また、「作成したダッシュボードを部署のメンバーのみ閲覧できるようにしたい」といった場合は、適切な権限設定で共有します。保存先のフォルダーで共有範囲を決め、各ユーザーの役割に応じて、以下の権限を設定します。
● 閲覧者:ダッシュボードの表示のみ
● 編集者:内容の修正が可能
● 管理者:共有設定の変更も可能
ダッシュボードは、様々な場面で活用できます。ここでは、特に効果的な3つの活用例を紹介します。それぞれの部門で、どのようにダッシュボードを使えば業務改善につながるのか、具体的に説明します。
営業チームでは、以下のような指標をダッシュボードで管理できます。
● 商談の進捗状況
● 営業担当者別の成約率
● 地域別の売上実績
● 重点顧客への訪問回数
これらの情報を一画面で確認できれば、問題のある案件への早期対応が可能です。また、好調な担当者の行動分析も容易になり、チーム全体の営業力向上にもつながります。
マーケティング部門では、以下の指標を中心にダッシュボードを構成します。
● 広告別の反応率
● 見込み客の獲得状況
● メール配信の開封率
● 商談化までの期間
これらのデータを組み合わせることで、費用対効果の高いキャンペーンを見極められます。また、顧客の反応が良い施策を素早く特定し、予算配分の見直しにも活用できます。
サポート部門では、以下の項目を重点的に監視します。
● 問い合わせ件数の推移
● 対応完了までの時間
● 担当者別の解決率
● 顧客満足度スコア
これらの指標を常に確認することで、サービス品質の維持・向上が図れます。特に、対応が遅れている案件や、満足度の低い事案を早期に発見し、適切な対策を取ることができます。
効果的なダッシュボードを作るには、いくつかの注意点があります。ここでは、特に気をつけるべき3つのポイントについて説明します。これらを押さえることで、より使いやすいダッシュボードを作成できます。
ダッシュボードの更新設定は、以下の手順で行います。
自動更新を設定しておけば、いつでも最新のデータを確認できます。特に、毎日の会議で使用するダッシュボードは、必ず自動更新を有効にしましょう。
ダッシュボードの権限設定は、データの安全性と利便性のバランスが重要です。まず、基本的な閲覧権限は部門やチーム単位で設定します。次に、データの編集や共有設定の変更が必要なユーザーには、個別に権限を付与します。特に、売上データや顧客情報など、機密性の高い情報を含むダッシュボードは、アクセス権限を慎重に管理する必要があります。
必要な情報に焦点を当てることで、ダッシュボードの価値は高まります。たとえば、営業ダッシュボードなら、現在進行中の商談や、締切が近い案件を中心に表示します。過去のデータや、参考程度の情報は別のレポートに移すことで、重要な指標が埋もれることを防げます。また、データの更新頻度に応じて、表示期間を適切に設定することも大切です。
今回は、ダッシュボードの機能や作り方を画像を用いて詳しく解説しました。Salesforceのダッシュボードは、業務データを効果的に可視化するツールです。基本的な作成手順を押さえ、目的に応じて適切なコンポーネントを選択することで、意思決定に役立つ情報基盤を整備できます。また、定期的なメンテナンスと適切な権限管理を行うことで、より価値の高いダッシュボードとして活用できます。
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