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2024-05-20
コラム
CRM

中小企業の「経営課題/営業課題が無い」原因と対策

中小企業あるある 経営課題がない…原因と対策

中小企業ほど「経営課題/営業課題が無い」「分からない」と応える「鈍感マネージャー」が増加する傾向

最近中小企業の課題について色々と調べる事があって、営業ラボ(https://www.e-sales.jp/eigyo-labo/)さんが公開している各社が抱える「経営課題・営業課題と営業管理方法」調査結果レポート2023(https://www.e-sales.jp/eigyo-labo/sales-management-issues-16409)というレポートに企業規模別の経営課題についてのデータがありました。

こちらの調査はインターネット調査で、「経営課題・営業課題・営業管理の方法と課題」「営業支援システム導入の実態」「情報収集に利用している媒体」についての調査を行ったもので、調査対象者は営業などの部門の「部長以上」ということで1500以上の回答を収集しています。※これ、回答集めるのは結構苦労したんじゃないかと思います。ありがとうございます。

各社が抱える「経営課題」

(出展 「経営課題・営業課題と営業管理方法」調査結果レポート2023)より引用

こちらの調査を元に「中小企業」(従業員規模100名未満)と「それ以外」で比較してみました。

まず、中小企業とそれ以外の会社と比較して有意に低い数字が出ているのが、「人材育成」「生産性向上」「コスト改善」「顧客満足度」などの指標でそれ以外の大企業で10%~20%以上低い数字が出ている、という点です。

次に気になる点として、中小企業はそれぞれの課題に対して「それ以外」と比較して突出して高いものはなく、反対に「課題はない」「分からない・答えられない」と回答している人が5~9%も多い点です。

実態として「中小企業ほど経営課題が少ない、課題がない」と事実があるわけではないでしょう。もしそうであれば中小企業の位置にずっと居続けているのではなく、事業が成長し大企業になっている、と考える方が自然です。※例外的に「小さいけれど安定したエクセレント・カンパニー」や「課題を解決してこれから大きくなる途上の企業」というものも中には存在するかもしれませんが、おそらく調査対象のすべての企業がそうである可能性はかなり低いと思って良いと思います。

調査から読み取れるのは、中小企業は部長以上の役職にあっても、それ以上の規模の企業と比較して「人材育成や生産性向上、コスト改善などに関する課題意識」が低く、自社の現状に対して「課題はない」「分からない」と回答する、いわゆる「鈍感マネージャー」が結構な割合で存在するという事実です。

次に、経営課題からブレークダウンした「営業課題」についても同様の傾向が見られます。

各社が抱える「営業課題」

(出展 「経営課題・営業課題と営業管理方法」調査結果レポート2023)より引用

中小企業はその他企業と比較して「営業担当者のスキルアップ/育成」「営業担当者のモチベーションアップ」「管理職のスキルアップ/育成」「ヒヤリング力/提案力強化」などの指標がその他企業と比較して有為に低い傾向がみられます。もっとも、年商規模で比較している傾向と同じ傾向であり、「年商規模1億円未満」の企業はさらにそういった傾向が強いことから、調査対象に個人事業主や「数名の企業で代表が営業を兼務」という企業も含まれることが予想されるため、調査結果には一定のバイアスが掛かっている事が考えられますが、1億未満よりも大きく(おそらく)営業組織があると思われる「年商1億円~10億円未満」の企業でもそれ以上の企業より営業課題について課題意識が低い傾向が見られることから、「中小企業ほど営業課題に関する意識が低い傾向がある」と読み取って良いと思います。

これをもって「だから中小企業はいつまでも大きくなれずに中小企業のままなんだ」とか「中小企業のマネジメント人材はレベルが低い」と結論付けることは単純なのですが、そうではないと思っています。「リソースの制約」「専門知識、専門人材の不足」「情報不足」など、考えられる仮説はいくつかあると思いますが、原因になりやすいものとして「ビジョンやリーダーシップの影響」があげられるのではないでしょうか?

必要なのはビジョン・目標の策定。従業員1人あたりのIT投資、中央値は「売上高IT予算比率1%」

中小企業庁が毎年まとめている「小規模企業白書」は「常時使用する従業員の数が20人以下」を小規模企業とし、毎年事業動向やイノベーション、外部環境の取組などをまとめています。

その調査によると「中小企業のデジタル化は、ビジョン・目標の設定や業務の棚卸しなどを戦略的に実施している企業ほど、進展している。デジタル化が進展している企業においては、経営者の積極的な関与に加え、組織的・戦略的な取組を行う傾向にある。また、必ずしも高度なスキルを持つデジタル人材がいなくても、デジタル化を進展させることは可能である。」とあります。

(出展 2023年版 小規模企業白書の概要(エグゼクティブ・サマリー))より引用

中小企業のデジタル化は図に示す「デジタル化の4段階」のうち、最も活用が進んでいる「デジタル化によるビジネスモデルの変革や競争力強化に取り組んでいる状態」まで進んでいる企業ほど、中小企業のデジタル化の取組段階の進展に向けて、経営者が積極的にコミットしていくことが重要である可能性が示唆されています。

(出展 2023年版 小規模企業白書 第2-2-11図デジタル化の取組段階 より)

(出展 2023年版 小規模企業白書 第2-2-11図デジタル化の取組段階別に見た、経営者がデジタル化を推進している割合 より)

同書では「デジタル化の推進に向けた戦略的な取組の例」として以下5つをあげています。

結局、「ビジョン・目標の策定」が1丁目1番地的な話にはなってしまい、「経営側のコミットが何より重要」というありがちな結論になってしまうので、経営者以外の従業員(冒頭紹介したようなマネージャーではない、経営に高い課題意識を持つマネージャーの皆さん)については「動かそうとも動かせない石をどうにかする」みたいな話になってしまいがちですので、最後に統計的な標準値の話を。野村総合研究所が毎年国内の企業に対して行っている「ユーザ企業のIT活用実態調査」によると「売上に対するIT投資(対売上高IT投資予算比率)」の中央値は1.0%、平均値は2.4%となっています。

ここでいう「売上に対するIT投資」は減価償却費を含まず社内人件費を含んだ数値となっています。

(出展 日本企業のIT活用とデジタル化 - IT活用実態調査の結果から

細かい業種別の内訳は記載されていないものの記事によると「IT投資予算の対売上高比率は業界によってかなりの差があります。例えば、製造業の中央値が1.0%であるのに対して、金融業の中央値は5.5%」とありますので、業種によりかなりの開きがあることが伺われますが、中小企業がその数字を下回るようであれば、持続的な成長や業務効率の大幅な改善は難しいのではないでしょうか?

私見で申し訳無いのですが、サービス業の中小企業であればサービスのサブスクリプション費用やソフトウェアライセンスなど「守りのIT投資」以外に「攻めのIT投資」として毎年売上の2%以上の予算を組んでもおかしくは無いでしょう。自社の売上であれば経営者でなくてもほとんどのマネージャーは把握していると思いますので、「自社のIT投資がどの程度の水準にあるか」をぜひ確認してみてください。

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