この記事の概要
・HubSpotのプロパティーの概要がわかる
・既定プロパティーとカスタムプロパティーの違いがわかる
・カスタムプロパティーの特徴や利点、注意点がわかる
・カスタムプロパティーの作成方法がわかる
・プロパティーグループの作成方法がわかる
・HubSpotの計算プロパティーがわかる
HubSpotのプロパティーとは、HubSpot内での各オブジェクト(コンタクトや会社、取引、チケットなど)に関連付けられたデータフィールドのことを言います。たとえばコンタクトオブジェクトには、氏名やメールアドレス、電話番号などの基本情報から、取引履歴、ウェブサイトでの行動履歴、ライフサイクルステージ(見込み客、リード、顧客など)といった詳細な情報が存在し、HubSpotではこれらを通じて顧客の詳細情報を管理します。プロパティーには、データの一貫性と組織化を促進し、チーム間での情報共有や分析を容易にする役割があります。
HubSpotには、あらかじめ設定された「既定プロパティー」と、ユーザーが独自に作成できる「カスタムプロパティー」の2種類があります。
● 既定プロパティー
HubSpotが標準で提供する既定のプロパティーで、一般的なビジネス情報をカバーしています。コンタクトの「氏名」や「Eメール」、「電話番号」、会社の「会社名」や「業種」などがこれに該当します。
● カスタムプロパティー
特定のビジネスニーズに合わせて、ユーザーが独自に作成することができるプロパティーです。たとえば、顧客の「取引履歴」や「契約更新日」、「興味や関心を持つカテゴリ」、「サイトや店舗への訪問履歴」など、既定プロパティーではカバーしきれない情報を管理する際に活用されます。HubSpotでこれらのプロパティーを適切に活用することで、データ管理の柔軟性と精度を高めることが可能になります。
カスタムプロパティーは、ビジネス特有の情報を収集・管理するために設計されています。これにより、マーケティング戦略や営業プロセスをより効果的に最適化することが可能となります。たとえば、以下のようなデータをカスタムプロパティーとして追加できます。
HubSpotの既定プロパティーには「名前」「メールアドレス」「会社名」などの基本情報がありますが、カスタムプロパティーで以下のような情報を追加することで、より詳細な顧客データを管理できます。
● 購入履歴
過去の購入商品や購入金額の情報
● 興味・関心カテゴリ
顧客が興味を持っているスポーツや旅行、ITの情報など
● 訪問回数
自社サイトや自社店舗への訪問履歴
BtoBビジネスでは、企業ごとに特化した情報を管理することが重要になります。
● 年間売上や利益
取引先企業の売上規模や利益の情報
● 業界カテゴリ
顧客がどの業界に属しているかの情報(製造業や小売業、IT系など)
● 契約関連
契約の種類や契約開始日・契約終了日など、契約期間の管理
営業活動を効果的に管理するために、商談や案件ごとの特定情報を追跡できるようにします。
● リードスコア
見込み客の成約可能性をスコア化して管理します。
● 契約更新のステータス
契約更新の予定や未定・完了、終了など。
● 営業担当者のメモ
商談時の重要なポイントを記した商談メモや議事録
マーケティング活動のパーソナライズ化を強化するために、以下のような情報を追加できます。
● メールの開封率やクリック履歴
● キャンペーンへの参加履歴
● リードソース
リード顧客を獲得したソースの情報(Web広告、SNS、イベントなど)
サポート部門が顧客対応を効率化するために、カスタムプロパティーを活用することができます。
● サポート対応回数や最終対応日
過去の問い合わせ回数やサポート応対の回数や最後にサポート対応した日時
● サポートの満足度
NPS(NetPromoter Score:顧客がサポート対応に満足しているかどうかの指標)やフィードバック
カスタムプロパティーに活用には、以下のような利点があります。
● 柔軟性の向上
ビジネスの特性や業界の状況変化に合わせて、必要な情報を自由に追加、管理できます。
● 精緻なデータ分析
既定プロパティーに追加して詳細なデータを収集することで、より精緻な分析やセグメンテーションが可能となり、ターゲットを絞ったマーケティング施策を展開できます。
● 業務効率の改善
必要な情報を一元管理することで、部門間・チーム間のコミュニケーションを円滑にし、業務プロセスの効率化を図れます。
ただしカスタムプロパティーの作成には、注意点もあります。
● 過剰なプロパティーの作成を避ける
必要以上に多くのプロパティーを作成すると、データが複雑化し管理が困難になる可能性があります。
● 命名規則の統一
部門内やチーム内でプロパティーの命名規則を統一することで、データの一貫性と検索性を高めることができます。似たような名前で同じ内容のカスタムプロパティーを作成すると、混乱の元になってしまうのです。
● 他ツールとの連携確認
HubSpotと他のツールを連携させる場合、カスタムプロパティーが適切に同期されるか事前に確認することが重要です。
カスタムプロパティーの作成は、以下の手順で行います。
1. HubSpotのダッシュボード右上にある「設定」(歯車のアイコン)をクリックします。
2. 左側のサイドバーメニューから「データ管理」>「プロパティー」を選択します。
3. 「オブジェクトを選択」ドロップダウンメニューから、プロパティーを作成したいオブジェクト(コンタクト、会社、取引など)を選びます。
4. オブジェクトを選んだら、右横の「プロパティーを作成」ボタンをクリックします。
5. 次の画面で、以下の項目を入力します。
・プロパティーラベル
プロパティーの名称を設定します。
・オブジェクトタイプ
オブジェクトのタイプを選択します。
・グループ
プロパティーを分類するためのグループを選択します。必要に応じて新しいグループを作成することも可能です。
・説明
プロパティーの用途や内容を説明するテキストを入力します。
6. 次に左側のメニューからフィールドタイプをクリックし、プロパティーで扱うデータの形式に応じて、適切なフィールドタイプ(例:単行テキスト、ドロップダウン選択、数値など)を選択します。
7. プロパティーの作成:すべての設定が完了したら、右上の「作成」ボタンをクリックしてプロパティーの作成を終了します。
HubSpotではプロパティーグループ を作成することで、関連するプロパティーを整理し、管理しやすくすることができます。プロパティーグループの作成は、「設定」>「データ管理」>「プロパティー」の画面から行います。
・新しいプロパティーグループを作成
「グループ」のタブを選択し、右側にある「グループを作成」をクリックします。
・プロパティーグループの名前を入力
プロパティーグループの名前を入力し保存をクリックします(例:顧客属性や購買履歴など)。※ここでは「新規のプロパティーグループ」を入力しています。
・プロパティーを追加
元の画面に戻るとグループに先ほど作った「新規のプロパティーグループ」が追加されているので、既存のプロパティーをグループに追加するか、新しいカスタムプロパティーを作成します。最後に「保存」ボタンをクリックして、プロパティグループの作成は終了です。
上記のようなプロパティーグループを活用することで、膨大なプロパティーをカテゴリー別に整理し、データ管理の効率を向上させることができます。
HubSpotのプロパティーには、既存のプロパティーをもとに自動計算を行い、新しい値を生成する「計算プロパティー」というものもあります。計算プロパティーを活用することで、手動でデータを更新する手間を省き、より精度の高い情報をリアルタイムで活用することが可能になります。計算プロパティーの概要や設定方法、活用例などはこちらの記事からご確認いただけます。
HubSpotのプロパティーは、顧客情報を整理し、マーケティングや営業活動を最適化するための強力な管理機能です。適切なプロパティー設定を行うことで、顧客管理の効率化やマーケティング戦略の最適化が可能になります。HubSpotのプロパティーを最大限に活用し、ビジネスの成長につなげていきましょう。
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