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September 5, 2022

【Salesforceの設計】リードの使い方、現実的な解決策について

ハレフルの永井です。

突然ですが、Salesforceのリードオブジェクトと機能、皆様の組織ではどのように使っていますでしょうか?

「見込客の管理でしょ?そんなの初歩の初歩じゃん!」

っていう方はひょっとしたら対象ではないかもしれませんが、ちょっとだけお付き合いください。

私(永井)が、会社設立以前を含め過去10年以上Salesforce関連のビジネスを行ってきて、これまで結構な数のSalesforceの組織を見てきましたが、リード機能を「ふんわり」設計してしまったがために、KPI管理やターゲティング等、戦略に基づいたマーケティング活動が効率的に進められない!という環境・組織を結構見てきました。

リードの機能や役割を会社内でしっかりと定義付けした上で運用設計を行って頂き、セールス活動との切り分けを行って頂く事で、ビジネスプロセス上の単なるオペレーションではない形でのマーケティング活動を進める事ができる下準備を整える事ができます。

ということで、今回は改めて「リード」の役割と機能についてしっかりと把握した上で、おもに中小企業のマーケティング、営業部門の方向けに

「どういう設計・設定なら運用負荷が少なくオペレーションを回せるか」

「営業やIS(インサイドセールス)等、関連部署との協同、連携はどう考えるべきか」

等について、マーケティング部門の側から見た中堅・中小企業までのSalesforceでオススメするリード管理方法について、永井の私見全開でお伝えしたいと思います。

Index

(1)リードの概念とパーチェスファネル

(2)Salesforceでのリードの役割と機能について

(3)決めずに運用を始めると問題が起きそうな箇所

(4)中小企業のSalesforce での現実的な設計のポイント

結論:基本的にはリードは「未整理箱」・・・がオススメです。

(1)リードの概念とパーチェスファネル

そもそもリード(lead)は日本語訳として単純に「見込み客」と翻訳されるか、カタカナ語でそのまま「リード」と呼称される事が多いのですが、語義的な意味合いとしてどのように考えれば良いのでしょうか?

「Lead」そのものの意味として「Oxford Learner’s Dictionaly」などで名刺としての”Lead”の意味を調べて見ると、「先頭に立つ」とか「集団の責任者」などの意味以外におもにビジネス用語として

a person or thing that may be useful to you, especially a possible new customer or business opportunity

あなたにとって役立つ可能性のある人物または物、特に可能性のある新しい顧客またはビジネス チャンス

という訳語が出ています。

基本的には人そのものの場合もあれば、人ではないではない「ビジネスチャンス」そのものを指す用語でもある、という事です。つまりリードは「1人、2人」という人単位のカウントではなく「1件、2件」というカウントを行う概念という事です。例えば1人のお客さんに3件の問い合わせがあれば、リードのカウント方法としては「3件」が正しい。

※なので本当はビジネスチャンスそのものを意味する「引き合い」という言い方の方が適切な気がしますが、本稿の趣旨はそこではないので割愛します。

次に、BtoBのマーケティング活動でよく登場するパーチェスファネルについて。

引用)https://www.skyword.com/contentstandard/how-the-marketing-funnel-works-from-top-to-bottom/

こういった図や概念をこのブログに訪問するような方々であればよく見かけた事があると思います。

一般的に顧客の製品・サービスに対する認知度合いと購買に至るまでのステージをいくつかのフェーズに分け、見込顧客をプロットすることで、お客さんの温度感を図りステージごとのアクション計画を立てるために用いられます。

こういったファネル図は検索すると色々出てきますが、おおよその図でリードはその中間点におかれ、顧客の興味関心と顧客情報が取得できていること、くらいのステージとして置かれている事が多いです。

最近のPurchase Funnelなんかではファネルの中をTOFU(トフ、Top of Funnel)、MIFU(ミフ、Middle of Funnel)、BOFU(ボフ、Bottom of Funnel)と大きく3つのステージに分けて、さらにその中でステージごとのマーケティングアクションの最適化につなげるような考え方を提唱していたりします。興味があれば調べてみてください。

参考)

What Is Top-of-Funnel Marketing? Building Awareness and Trust

(2)Salesforceでのリードの役割と機能について

では、改めてSalesforceのリード機能について改めて整理をしていきます。

標準オブジェクトとしてのSalesforceのリードはざっくりと以下のような機能が備わっています。

リード管理

顧客情報の登録や製品に興味のある顧客データを管理する事ができます。Todoの管理やレポート、ビューなどによるセグメントなど、Salesforce の標準的な機能が連携された状態で用意されていますので、顧客データをインポートや手動で登録していくだけで、細かな設定・チューニングを行わなくても簡単に顧客管理を行う事が可能です。

取引開始

リード内にある情報は顧客のフェーズが高まって商談が発生したリードについては「取引開始」を行う事で会社情報を取引先オブジェクト、担当者情報を取引先責任者に昇格させる事ができます。ここでいう「取引開始」は法人間の取引が始まった、という状態を指すのではなく、あくまで営業担当に引き継いで商談が始まった、くらいのニュアンスです。※ここ、一番大事な箇所なのであとで解説します。

Web to Lead

Webフォームに専用のコードを設置する事でWebサイトに登録された情報をリードに取り込む事ができます。今はPardot(Account Engagement)や他のMA製品を契約するとWeb to Leadフォームがいらなくなるので、使っている人は少なくなってきたかもしれません。

名寄せ・マージ

リード内のデータ、リードと取引先責任者を比較してマージする事ができます。リードと取引先/取引先責任者はそのままではマージできないので、先に取引開始を行い既存の取引先/取引先責任者とマージさせる事が可能です。

キャンペーンオブジェクトとの連携

Salesforceの標準機能であるキャンペーン機能はちょっとややこしい機能で、「8月のメルマガ」とか「10月の展示会」とかの施策単位で費用対効果を測定できる「キャンペーン」と、取引先、取引先責任者、リードそれぞれに連携できる「キャンペーンメンバー」とに分かれます。(キャンペーンについてもうまく設計しないと活用が難しい機能の代表格なのですが、いずれ解説させてください。)

リード自体は「取引開始」機能や「取引先責任者・取引先との名寄せ」を除けば、基本的には単なる「データの入れ物」で、リード情報の管理方法自体は企業が自由に決めてよい、という形になっています。つまりリードオブジェクトで何をどこまで管理するか、自体をSalesforceでリード管理する場合きちんと決めておく必要がある、という事です。

(3)決めずに運用を始めると問題が起きそうな箇所

先にお伝えしたように「リード」機能自体は単なる「データの入れ物」なんですが、Salesforce でリード管理をする場合、起きがちな問題について以下のようなものがあります。

①リードを扱う基準が担当者レベルで統一されていない

営業がリード内にあるデータを触るような運用ルールになっている会社でよくある事象として、Web to Leadから来た(もしくはMAから登録された)リードの所有者を営業担当者本人に設定し、そこで初期対応の対応結果を書くようなケース。皆が皆そのような運用で行う事ができればそれはそれで良いのですが、担当者によって、

「アポが取れてから商談開始にする」

「初期対応後で見積作る等商談化するまでリードに置く」

「なんなら成約とれるまでずっとリード内に置いておく(そもそもSFAを更新しない)」

など「オレオレリード管理」が発生してしまう事になります。

最後のは論外としても、取引開始の明確な基準を決めないまま(もしくは決まっていたが守られていない)運用を行っている組織は結構見る事があります。

②複数の商材や商流がある企業の場合、リードの管理基準が統一されない(統一できない)

きちんと基準を決めている企業・組織でも、事業上の問題点からリードの管理基準が統一できない、という事もあります。例えば高額で長期間の商談を行う必要がある商材と、小額でWebでほぼ完結するような商材で、同じ商談発生を起点にリード情報を管理する事が難しい場合があります。

同様に複数商材を扱っている場合A事業部ではリードでもB事業部では大口顧客だったりする場合、リードとして管理すべきか商談開始して管理すべきか等、判断の軸が統一できないような事象も考えられます。

また、パートナーセールス等、代理店経由の商流を持つような企業の場合、そもそもパートナー側で温めているリードの管理はほぼ不可能に近く、ある日突然商談が来て、ある日突然発注が来る、なんてこともあります。

③リードと取引先責任者に管理するリード(とリサイクル)が散在する

Salesforceのリードは機能上「リードに戻す」という機能がありません。そのため一度取引開始をしたリードは営業担当が所有者になって、取引先・取引先責任者にデータが存在する事になりますが、そうすると取引先責任者に存在する「失注」「ペンディング」状態のデータと、リードオブジェクト内に存在するリード、2つのオブジェクトにまたがってデータを見て行く必要があります。

※一度取引開始したデータは内部上アクセスできないようになっていますが存在します。この「取引開始済みリード」を対象にデータを管理する事もできますが、取引先責任者に完全連動しているデータではなく、取引開始時点のデータなので、管理上も運用上もオススメできません。

こうした状態を放置しておくと起きる問題として、

「××施策から商談発生した件数を把握したい」

「マーケティング部門がアプローチ可能なリードの総数が把握できない」

「○○業界のアプローチ可能な会社数と担当者数を把握したい」

など、ごく当たり前に必要となるようなKPIの把握ができなくなってしまいます。

そうしたSalesforceの運用・設計上の「起きがちな失敗」を起こさないために、マーケティング部門がしっかりリードを管理する上の重要なポイントになってくるのですが、本稿では独断と偏見でお勧めしたい運用方法があります。

(4)中小企業のSalesforce での現実的な設計のポイント

で、ようやく長い前置きが終わりました(笑)。ここからはシンプルなので、結論を先にお伝えします。

よほどきちんと管理できる企業・組織以外は、

基本的には「リードは未整理箱にしてマーケティングで管理するリードもほぼ全部取引開始する」をオススメしたいと思います。

一般的にリードに入って来るデータは以下3つにざっくり分類可能です。

A「見込顧客になる可能性のあるデータ」

B「既に取引のあるデータ」

C「それ以外(就職関連/競合/売り込み等)のマーケティング活動対象外のデータ」

このうち、Cは見ただけで判断できますが、AかBのどちらかについては取引先責任者のデータと照合する事で過去の商談履歴、キャンペーン履歴などと突合した上で判定できます。で、この判定処理について組織によって営業部門が主幹で行う組織と、マーケティング部門が主導する組織に分かれていると思います。

おすすめとしてはマーケティング部門が最初にリードを判定し、ABかCの切り分けを行った上で取引開始を行ってしまい、所有者をマーケティング部門から営業部門に変更する、という形で営業部門への引き渡しを行ってしまう方法です。

※マーケ部門で管理するリードや営業部門に引き渡しをしたリードなどをMQL(Marketing Quolified Lead)とかSQL(Sales Quolified Lead)、SAL(Sales Accepted Lead)とか色々な呼び方、定義がありますが、言う方によって順番や定義が異なる事もあるため、ここではその名称は用いずに説明していきます。

細かいポイントまで文章で書くと長くなりそうなのでスライドでまとめると以下のような形になります。

取引先責任者上でリードを一元管理する事で、以下のようなメリットがあります。

・リードオブジェクトの管理基準が明確になり、マーケ部門の管理データが把握しやすくなる

・顧客データがそろった状態でマーケティング施策を実行できるので、単なるメルマガ発射だけにならずにセグメントをきった施策が立てやすい

・同じ取引先の中でリードに〇件、取引先責任者に〇件、のような複雑な構造にならないため会社単位での戦略が立てやすい

・複数の商品や商流があっても取引先単位での動きが把握しやすく、ダブりや漏れを防ぎやすい

など、様々なメリットがあります。

なお、スライドに記載したポイントのうち、いくつかの実施が難しい箇所は現状や体制に合わせて柔軟に変更するなどしても構いません。例えば、商談終了後に所有者をマーケ部門に変更する運用が難しいのであれば、「マーケティング部門のキャンペーンプログラムの対象とするのは過去に成約していない取引先も含む」とするなど現場でチューニングして頂ければ、反発も少ないのではないかと思います。

こうすることで、データマネジメントのコストやセグメント云々の話はもちろんですが、マーケ部門、営業部門が一つの大きな箱の中で管理をする、というのが隠れたメリットかもしれません。営業、マーケで別々のデータを管理していてお互いがお互いの業務を把握できない状態で、リスペクトが産まれない形になる事が一番問題になるので、小さな組織であればリードを「未整理箱」にしてしまい、共通の箱の中で、会話が産まれる事の方がよほど健全です。

あと、突っ込みがきそうなところですが、

※Einstein リードスコアリングが機能しなくなる、とかそういう話は今回どうでも良いです。

どうしても「リードをリードとして使いたい」という方向けに、より現実に即したパターン別の解決案もいずれ書きたいと思いますが、ひとまずは小さな組織のリード管理は「悩んだら取引先責任者に寄せる」が解決になると思っています。

あくまで冒頭書いたように私見全開の意見なので、いろんな意見が合って良いと思っています。

Twitterなんかでご意見いただければ幸いです。

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