この記事の概要
・Content HubとWordPressの概要がわかる
・Content HubとWordPressの主要機能や利点がわかる
・両ツールを適用シーンや拡張性、セキュリティなどの観点から見た違いがわかる
・Content HubとWordPressのコスト構造の違いがわかる
Content HubとWordPressの違いを比較する前に、両者の違いを簡単に確認しておきましょう。
Content Hubは、米国・HubSpot社がマーケティングツールとして展開するツール群のひとつで、一元的にコンテンツを管理し、効果的なコンテンツマーケティングを実施するためのプラットフォームです。従来はCMS Hubとして展開されていましたが、よりパーソナライズされたコンテンツ戦略を実行できるように2024年に新たにリリースされました。Content Hubは、コンテンツの作成や管理、配信、最適化を効率化し、顧客体験を向上させることを目的としています。
WordPressは、現在世界で最も利用されているオープンソースのCMS(コンテンツ管理システム)です。個人のWebサイトやブログ、企業サイト、ECサイトまで幅広く対応できる柔軟性を持ち、さまざまなプラグインとテーマを活用することで、機能を拡張することができます。WordPressは、そのユーザーフレンドリーな操作性で、初心者から上級者まで幅広いユーザー層に利用されています。
HubSpotのContent Hubは、以下のような機能と利点を持っています。
● コンテンツ管理(CMS機能)
Content Hubの主要機能がCMS機能です。Content Hubはドラッグ&ドロップのWebサイトエディターで、コードを使うことなくWebサイトの作成が可能です。コンテンツバージョン管理として変更履歴の保存と復元も可能で、検索エンジン向けにコンテンツの改善をアドバイスするSEO最適化機能も持っています。
● AIを活用したコンテンツ作成
Content Hubには、AIを活用したコンテンツ作成機能が実装されています、ブログ記事やランディングページ作成、SNS投稿などのコンテンツ作成をAIが支援してくれる他、動画コンテンツやSNS投稿向けのキャプションをAIが提案してくれる機能や訪問者ごとに適したコンテンツを自動表示する機能もAIが支援してくれます。
● マーケティングオートメーションとの連携
Content Hubは、HubSpotの他のHub(Marketing Hub、SalesHub、Service Hubなど)やMarketoなどのマーケティングオートメーションツールと容易に連携できるため、リードナーチャリングやパーソナライズされたコンテンツの配信が可能です。
● マルチチャネル配信
SEO対策を施したブログやウェブページ作成し、併せてニュースレターやキャンペーンメールの送信を行ってマルチチャネルでコンテンツを配信することができます。
● コンテンツパフォーマンス分析
また、有料の機能になりますが、異なるコンテンツの効果を比較するA/BテストやコンテンツのエンゲージメントやROIを可視化するダッシュボードとレポート機能、検索順位の変動をモニタリングするSEOパフォーマンス追跡機能などが用意されています。
● カスタマイズの自由度
WordPressはオープンソースであるため自由度が高く、カスタマイズが容易です。直感的な管理画面で、基本的にはプログラミングの知識がなくてもサイトを作成可能です。また、プログラミング(コーディング)の知識があれば、独自の機能やデザインを組み込むこともできます。
● プラグインとテーマの豊富さ
WordPressには数万種類のプラグインとテーマが提供(有料と無料がある)されており、SEO対策やセキュリティ強化、Eコマース機能追加など、多様なニーズに対応できます。
● コミュニティとサポート
WordPressは、世界中のコミュニティによって、多くの情報やサポートが提供されています。またマニュアル本も多く出版されているので、問題が発生した際には解決策を見つけやすいという利点があります。
● コストを抑えられる
WordPressはオープンソースなので、ソフトウェア自体は無料、レンタルサーバーとドメインがあれば運用可能です。プラグインも無料のものを活用すれば、低コストでさまざまなサイトを構築・運用でききます。
ではContent HubとWordPressはどのようなシーンで使うことに向いているのでしょうか?
● 企業のオウンドメディア運用
自社サイトへの誘導や歳と分析が重要なサイトにはContent Hubが向いています。
● コンテンツマーケティングを重視する企業
的確な分析やSEO対策を行い、コンテンツマーケティングを重視する企業のサイト運営に向いています。
● マーケティングオートメーションとの連携が必要なサイト
他社製やHubSpotのマーケティングオートメーションと連携する場合には、Content Hubが最適です。
● 中小企業のウェブサイト
基本的には無料、もしくはリーズナブルなプラグインを利用できるので、あまりサイト運営にコストをかけられない中小企業の運用に向いています。
● 個人ブログやポートフォリオサイト
こちらも上記同様、工夫すればコストを抑えて作成・運用できるので、WordPressは個人での活用に向いています。
● 柔軟なカスタマイズが求められるサイト
ほとんどの機能はプラグインで実現できますが、プログラミングの知識があれば柔軟にサイトをカスタマイズすることもできます。
「マーケティング重視」であればContent Hub、「コストや自由度を優先」するのであればWordPressが適していると言えます。Webサイト運営時の優先事項を決めて、どちらかのツールを選んでいきましょう。
Content HubとWordPressは単独の機能だけでなく、それぞれの拡張性を活かした機能の拡張が可能です。といっても、双方の拡張性は方向性が違うので注意が必要です。たとえばContent Hubは、HubSpotの製品や他のマーケティングツールとの連携が容易で、CRMや広告配信ツールとも統合することが可能です。一方WordPressは、多種多様なプラグインを活用することで機能を拡張できるように設計されています。つまりContent Hubは企業向けツールと連携しやすく、WordPressは一般的なウェブサービスとの相性が良いということになります。
Content Hubは、コンテンツ管理とSEO最適化を一元化できるツールです。初心者でも簡単にSEO対策ができるように、主に以下のような機能を実装しています。
・SEO推奨
WebサイトのSEOエラーを自動検出し、改善策を提案。
・トピッククラスター
関連コンテンツを内部リンクでつなぎ、検索エンジン評価を向上。
・AIキーワードリサーチ
最適なキーワードを自動提案。
・メタデータ最適化
タイトル・ディスクリプションを自動生成、または改善。
・モバイル最適化
レスポンシブデザイン対応と読み込み速度向上対策。
・ページスピード分析
Webサイトの表示速度を測定し、改善策を提案。
これに対してWordPressは、基本機能に加えてプラグインでSEOを強化する必要があります。
・SEOフレンドリーなURLを設定可能
・モバイル対応(レスポンシブデザインでGoogleの評価向上
・画像SEO(ALT属性設定)で検索流入を増やせる
・プラグイン(Yoast SEO、Rank Math、All in One SEOなど)を利用することで、SEO対策を強化
Content Hubのパフォーマンス最適化の特徴は、クラウド型で最適化されており、サーバー管理が不要な点、モバイル対応・AMP標準搭載でGoogleの評価が高い点、コード最適化とページ速度管理が自動化されている点です。このような標準搭載の機能で、メンテナンスが不要、かつ高速で安定したパフォーマンスを維持できると言えます。
一方WordPressは、サーバーの選択とプラグインの選択でパフォーマンスを調整可能である点、テーマ次第でモバイル対応とAMP対応も可能な点はパフォーマンス最適化の特徴です。しかし自由度が高い反面、最適化には手動設定やそれなりの知識が必要になります。WordPressはカスタマイズ性が高いが、パフォーマンス最適化は自分で設定する必要があるのです。
Content HubとWordPressは、セキュリティとメンテナンスの点から見ても、前章と同じような傾向があります。
Content Hubはクラウド型でセキュリティ管理が自動化されており、ユーザーが個別に設定する必要はありません。たとえばSSL証明書が標準搭載されていたり、DDoS攻撃対策やファイアウォールなども、はじめから組み込まれています。つまりユーザー側で特別なセキュリティ対策は不要で、基本的な安全性は確保されていると言えるでしょう。メンテナンスに関しても、クラウド管理のためアップデートや設定は自動的に行われます。
WordPressはSEO対策などと同様、さまざまな設定は自分で行う必要があります。ホスティングサービスを使えば基本的なセキュリティ(暗号化やファイアウォール)は実装されている場合がありますが、セキュリティプラグイン(WordfenceやSucuri)、DDoS対策などはCDN(Cloudflareなど)を活用する必要があります。またメンテナンスに関しても、定期的なツールのアップデートは自分で行う必要があります。
最後にContent HubとWordPressコストで比較してみましょう。
HubSpotのすべてのツールは、選択するプラン(Starter、Professional、Enterprise)によって料金が変わります。無料ツール(無料機能)も用意されていますが、各プランで使える機能が変動します。2025年2月時点の各プランの基本料金は以下の通りで、コアシートを追加すると料金が上がります。
● Starter
Starterプランは月額1,800円から。含まれるコアシートの数は1シートで、追加する場合は1枚につき1,800円が必要です。
● Professional
Professionalプランは月額106,800円から。含まれるコアシートの数は3シートで、追加する場合は1枚につき6,000円が必要です。
● Enterprise
Enterpriseプランは月額432,000円からで、含まれるコアシートの数は5シート。追加する場合は1枚につき9,000円が必要です。
WordPress本体の利用料は無料ですが、これにホスティング費用と必要であればドメイン取得費用がかかります。また有料のプラグインやテーマを追加すれば、その分料金が加算されることになります。
Content HubのStarterプランを選び、1コアシートのまま運用すれば月額1,800円、年額で21,600円ほどかかることになります。WordPressのホスティング費用とドメイン取得・維持費用は選ぶサービスによって差があるので、実は単純比較はできません。ただし基本は無料で使えるWordPressも、有料テーマやプラグイン、ホスティング費用などがかかることを考えると、費用ではなくパフォーマンスで比較するべきでしょう。
先述のように、Content Hubは企業向けツールと連携しやすく、WordPressは一般的なウェブサービスとの相性が良いという特徴があります。従ってマーケティング重視であればContent Hub、コストや自由度を優先するのであればWordPressが適しています。
このようなことから、Content Hubは大企業やコンテンツマーケティングを重視する企業のサイト運営に適しており、WordPressはコストを抑えつつ柔軟に運用したい場合のサイト運営に適しているといえるでしょう。
両ツールの善し悪しはサイトの目的や運用体制によって大きく異なるため、一概には判断できません。自社の規模とWebサイトの目的、長期的な運用を行う視点で検討することが重要です。
なお、株式会社ハレフルでは HubSpot や Salesforce の導入・運用支援を行っております。初期設定や操作方はもちろん、自社にマッチした設定から専門的な使い方まで、全般的なサポートをご提供しています。貴社に最適な導入・活用プランをご提案し、スムーズな運用をお手伝いいたしますので、CRMの導入は初めてという企業様も安心してご依頼いただけます。「自社にあったCRMを選定してセールスやマーケティングを効率化したい」「HubSpotの運用を依頼できる企業を探している」など、HubSpot導入に関する具体的な相談や、プランの選び方についてお困りの方は、お問い合わせ からご連絡ください。